天竜材の家「百年住居る事業」とは?浜松市で最大50万円がもらえる住宅補助金
「浜松で家を建てるなら、地元の木を使うと補助金が出るらしい」——そう聞いて調べ始めた方へ。その制度が天竜材の家 百年住居る(すまいる)事業です。ポイントを先にまとめます。
- 浜松市内に自分が住む家を新築・増築する建築主が対象
- FSC認証を受けた天竜材を、使った量に応じて助成してもらえる
- 助成額は最大50万円(基本40万円+加算10万円)
- 申請の窓口は市役所ではなく浜松地域材利用促進協議会
- 予算がなくなり次第受付終了。施工業者が協議会の会員であることが条件
この記事では、令和8年度(2026年度)版のご案内(R8.6.1改訂)と交付要綱をもとに、助成額・対象条件・申請期限・申請の流れ・他の補助金との併用の注意点を順に整理します。工務店を決める前に読んでおくと、「会員ではない業者に頼んでしまって使えなかった」という失敗を避けられます。
助成額はいくら?1立方メートルあたり2万円・上限40万円に10万円加算で最大50万円
助成額は「使ったFSC認証材の量」で決まります。
| 区分 | 金額 |
|---|---|
| 基本の助成 | FSC認証材の使用量1立方メートルあたり2万円(1棟につき40万円が上限) |
| 加算 | COC認証を取得した工務店が建築した場合、1棟につき10万円を加算 |
| 合計の上限 | 50万円(千円未満は切り捨て) |
助成の対象になるのは構造材と内装材に使ったFSC認証材の量です。同じ天竜材でも認証を受けていない木材は量に含められません。
条件のひとつに「内装材と合わせて5立方メートル以上」という下限があるため、対象になれば少なくとも10万円程度からの助成になり、使用量が20立方メートルに達すると基本部分は上限の40万円で頭打ちになります。たとえば15立方メートルなら15×2万円で30万円、COC認証取得工務店が建築していれば10万円が加算されて合計40万円、という計算です。
ただしこの数字はあくまで目安です。実際の助成額は、申請時に提出する木拾い表(様式第2号)に基づく確定した使用量で算定されます。「これくらい使うから何万円もらえる」と先に決めてしまわず、工務店に木拾い表の見込みを出してもらってから資金計画に反映してください。
対象になる家の条件は7つ。建売住宅とリフォームは対象外
令和8年度のご案内では、次の条件をすべて満たすことが求められています。
| # | 条件 |
|---|---|
| 1 | 浜松市内の新築・増築で、自ら居住する住宅であること(建替え・売建住宅は対象。建売住宅とリフォームは対象外) |
| 2 | 居住面積が66平方メートル(約20坪)以上であること(増築の場合は増築部分のみが対象) |
| 3 | 構造材の80%以上にFSC認証材を使い、内装材と合わせて5立方メートル以上使用すること |
| 4 | 浜松市の定める品質規格基準を満たすFSC認証材を使うこと |
| 5 | 施工業者が浜松地域材利用促進協議会の正会員または登録会員であること |
| 6 | 建築現場をPR等の場として提供できること |
| 7 | 建築主が市税を完納していること |
とくに見落としやすいのが5番です。どの工務店に頼んでもよいわけではないため、依頼先を決める前に「協議会の会員かどうか」を必ず確認しておきましょう。
1番の「建売住宅は対象外・売建住宅は対象」という線引きもつまずきやすいところです。できあがった家と土地をセットで買うのが建売住宅、土地を先に買って建てる家を自分で発注するのが売建住宅で、建築主として自分が工事を発注する形であれば対象になると整理できます。すでに建っている家を買う場合や、いまの家のリフォームは対象になりません。
4番の品質規格基準については、「しずおか優良木材製品出荷証明書」またはJAS製品であることの証明書を提出すれば現地での木材検査を省略できるとご案内に書かれています。含水率などの細かい数値は別紙の基準で定められていますので、使う木材がこの証明書付きで手配できるかを工務店に確認するのが実務的です。
令和8年度から申請期限が変更。「上棟日の2週間前まで」に注意
令和8年度のご案内には「変更点」として次の3つが挙げられています。
- 申請書類の受付を上棟月の2か月前から「上棟日の2週間前まで」に変更
- 対象木材を「FSC認証材の主要構造材」から「構造材」に変更
- 申請時にCOC認証番号を証明する書類を追加
申請期限のルールをまとめると次のようになります。
- 交付申請の受付は上棟日の2週間前まで
- ただし木材検査を行う場合は、上棟日の2か月前までに申請が必要
- 4月の上棟は15日以降、3月の上棟は15日までが受付の対象
木材検査が必要かどうかで、準備に必要な期間が2週間と2か月で4倍以上変わります。出荷証明書などで検査を省略できるかどうかを、早い段階で工務店に確認しておくと安心です。
さらに、この補助金は予算がなくなり次第受付終了と市のページに明記されています。年度の後半に着工を計画している場合は、上棟日から2週間を逆算するだけでなく、残り枠の状況を協議会に問い合わせてから資金計画を固めるのが安全です。助成を受けられる前提でローンや自己資金を組んでいると、受付終了に当たったときの影響が大きくなります。
申請から補助金の受け取りまでの流れと必要書類
手続きは「交付申請 → 木材検査 → 上棟 → 実績報告 → 請求」の順に進みます。
| 段階 | 主な提出書類 |
|---|---|
| ①交付申請(上棟日の2週間前まで) | 交付申請書(様式第1号)、木拾い表(様式第2号)、建築確認済証の写し、各階平面図、現地案内図、COC認証番号を証明する書類 |
| ②木材検査 | 木材検査依頼書(様式第6号)。「しずおか優良木材製品出荷証明書」やJAS製品証明書があれば現地検査を省略できます |
| ③実績報告(事業完了後30日以内または3月20日まで) | 実績報告書(様式第7号)、県産材販売管理票、木材検査合格書、上棟時の写真など |
| ④請求 | 請求書(様式第9号)、必要に応じて委任状 |
内装材にFSC認証材を使った場合は、施工完了後30日以内または3月20日までに写真を提出します。
書類の名前を見ると大変そうですが、木拾い表(どの部材に何立方メートルの認証材を使うかを書き出した表)や県産材販売管理票は、木材を手配する施工業者側の資料がもとになります。施工業者が協議会の会員であることが条件になっている制度なので、まずは工務店に「百年住居る事業を使いたい」と伝えて、どこまでを建築主が用意するのかを確認するところから始めるとスムーズです。誰がどの書類を出すかの役割分担は工務店によって異なりますので、思い込みで進めず最初に取り決めておきましょう。
また、実績報告には「事業完了後30日以内または3月20日まで」という期限があります。年度末に完成する場合は3月20日が実質の締切になるため、引き渡しの日程と合わせて確認しておくと安心です。
移住者向け補助金との「合わせ技」はできる?併用で気をつけること
浜松市に移住して家を建てる方が気になるのが、ハマライフ住宅取得費等助成事業費補助金(補助対象経費の2分の1以内・上限100万円)との併用ではないでしょうか。
まず、公式資料で確認できることを整理します。
| 資料 | 併用についての記載 |
|---|---|
| 百年住居る事業のご案内 | 「本制度は、県制度との併用が可能です」と明記。静岡県の助成制度とは重ねて使えます |
| 百年住居る事業の交付要綱 | 他の補助金との併用を禁じる条文は見当たりません |
| ハマライフ補助金の募集要領 | 市の他の助成制度による補助等を受けた、または受ける見込みのある経費、および国や他の地方公共団体の公的制度による補助を受けた経費は補助の対象外 |
つまり、同じ経費について二重に補助を受けることはできません。一方で、百年住居る事業は「FSC認証材の使用量」に対する助成、ハマライフ補助金は「住宅の取得に要した経費」に対する助成という性質の違いがあり、どこまでが同じ経費にあたるかは個別の判断になります。
なお、ハマライフ補助金には申請日現在で市内へ移住後2年以内、申請者と配偶者等がともに50歳未満(ひとり親家庭は世帯主が50歳未満)、移住前10年間で通算5年以上市外に居住、直近1年間の所得合計が1,000万円以下、自治会への加入、5年以上居住する意思といった要件があります。移住者向けの制度なので、もともと浜松市にお住まいの方は対象になりません。
併用を前提に資金計画を立てるなら、必ず事前に浜松地域材利用促進協議会(053-423-3010)と、ハマライフ補助金の担当である市民協働・地域政策課 移住グループ(053-457-2243)の両方に確認してください。
相談先は市役所ではなく「浜松地域材利用促進協議会」
この制度の受付・相談窓口は、市役所の担当課ではなく事業を運営する団体です。
- 一般社団法人 浜松地域材利用促進協議会 事務局
- 所在地:〒435-0011 浜松市中央区国吉町131
- 電話:053-423-3010 / ファクス:053-423-3012
対象になるかどうかは施工業者が協議会の正会員・登録会員かどうかで決まるため、工務店を選ぶ段階で相談するのがいちばんの近道です。会員の工務店を知りたいときも、上記の協議会に問い合わせるのが確実です。
制度そのものについて市に確認したい場合は、浜松市産業部林業振興課(053-457-2159)が担当です。「住宅の補助金だから住宅課」と思いがちですが、この制度は地域材の利用促進を目的としているため、林業の担当課が所管しています。
問い合わせるときは、①上棟の予定時期 ②依頼予定の工務店名 ③FSC認証材をどのくらい使う見込みかの3点を手元に用意しておくと、話が早く進みます。
まとめ
- 天竜材の家 百年住居る事業は、FSC認証の天竜材を使った住宅に最大50万円を助成する浜松市の制度
- 助成額はFSC認証材1立方メートルあたり2万円・1棟40万円が上限、COC認証取得工務店が建築した場合は10万円加算。実際の額は木拾い表の確定数量で決まる
- 対象は市内の自己居住用の新築・増築。建売住宅とリフォームは対象外
- 居住面積66平方メートル以上、構造材の80%以上がFSC認証材で、内装材と合わせて5立方メートル以上が必要
- 令和8年度から申請期限は上棟日の2週間前まで(木材検査を行う場合は2か月前まで)。4月は15日以降、3月は15日までの上棟が対象
- 実績報告は事業完了後30日以内または3月20日まで
- 予算がなくなり次第受付終了。施工業者が協議会の会員であることが必須条件
- 相談先は浜松地域材利用促進協議会(053-423-3010)。市の担当課は産業部林業振興課(053-457-2159)
移住してマイホームを建てる方は、浜松市ハマライフ住宅取得費等補助金や浜松市の住宅省エネ・スマートハウス補助金もあわせてチェックしてみてください。